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Research Director Dr. Takeo Watanabe

Dr. Takeo Watanabe

Lecturer, Department of Aerospace Engineering, School of Science and Engineering, Teikyo University

(English version coming soon)

――本格的にプロジェクトに関わられたのは?
「2012年ですね。首都大学から帝京大学に移り、自分の研究室が立ち上がることが決まった時点で、手伝わせていただこうと思っていました。きわめて有意義で、面白いプロジェクトに立ち上げの段階から携われる、しかも自分の専門分野を活かせる機会は貴重ですから」

――人工流れ星プロジェクトでは、どのような役割を担当されているのですか?
「簡単に言えば私の役割は、佐原先生や阿部先生が研究開発を進めていく際に、その研究ミッションに合った機械やメカニズムを考えて、提供させていただくということになると思います。エンジニアリング的な裏方というか、『宇宙ミッションを支えるテクノロジーの開発研究』ということになるのではないでしょうか」

――具体的には?
「主に担当しているのは、人工流れ星の素(もと)となる流星源を格納し、放出装置に受け渡しをする供給装置の開発です。現在、阿部先生がテストされている流星源は様々な素材が用いられていますし、硬さも一律ではない。中には柔らかい素材や、すぐに粉末状になるものまで含まれているかもしれませんので、まずは互いに接触しないような状態で収納できるようにしなければならない。  
しかも打ち上げの時には振動環境にさらされますので、振動や衝撃を受けても流星源を壊さないような、収納部の構造を作る必要があります。流星源の種類や個数を確実にコントロールできる仕組みも不可欠ですしね」

――技術的には、やはり耐衝撃性の確保がポイントになるのでしょうか?
「ええ。それはマストですが、同時に心を砕いているのは、機械の構造そのものをいかにシンプルにするかという点です。構造をシンプルにすれば重量を抑えつつ強度も確保できますし、メカニカルなアクションも簡単になるので、故障が起きる確率も減らせることになる。同じことは機械を動作させる駆動系、モーターなどにも当てはまります。地上で使う機械を設計する場合には、要所要所でモーターをたくさん使えばいいということになるかもしれません。でも単純に考えれば、部品の点数が増えるほど、トラブルが起きる危険性は増えてしまう。ですからALEのプロジェクトでは、部品の点数を極力減らすことも非常に重要になる。地上にいる場合と違って、いざ不具合が起きたからといって、宇宙空間にはすぐに直しには行けませんから(笑)」

――宇宙空間で機械を動かすという点で、特別に考慮しなければならない要素はあるのでしょうか? 
「供給装置を動かすモーターや電気系統も当然、専用のものが必要になりますが、この分野は佐原先生が得意とされています。私もいろいろ相談にのっていただけているので心強いですね。  
私が開発している放出装置も、重力の影響をほとんど受けない。地上で置いた場合に、縦置きになろうが横向きになろうが、同じように作動する仕組みになっています。むしろ一般の人があまりご存じのない分野としては、潤滑の問題が挙げられるかもしれませんね。地上で使用する機械の場合、グリース(潤滑油)を塗れば摩擦は減らせますが、真空状態では使用できる潤滑剤が限られていますので、やはり宇宙空間用に開発された特殊な潤滑方法を使う必要がでてきます」