Technology

Research Director Dr. Shinsuke Abe

Dr. Shinsuke Abe

Associate Professor, Department of Aerospace Engineering, College of Science and Technology, Nihon University

(English version coming soon)

――学術的な貢献も大きい。
「人工的に作られた流れ星の発光をあえて調べるのはなぜか。天然の流れ星は消えてなくなってしまうので、正確な組成・構造が分からないのです。いつ飛ぶかも分からないので精密な観測もできないし、貴重な現象を見逃してしまうこともある。  
例えば、明るい流れ星(火球と呼ばれます)が流れた後の上空90キロの付近に、自ら発光する流星痕(りゅうせいこん)と呼ばれる巨大な竜のような雲が出現するケースもあります。  
従来、このような現象を分析するには、自然の流れ星が落ちてくる瞬間を待ち受けて観測するような方法しかありませんでした。しかも流れ星が発生する位置は予測できませんから、理想的な形で観測ができるのは、せいぜい数年に1回くらいに限られている。
しかし人工流れ星ならば、流れ星が出現する時間と場所がすべてわかっているので、いつでも理想的な形で最高のデータを採取できる。その最高のデータを元に、天然の流れ星を詳しく知るモノサシを得ることが出来る。その点においては、自然現象の観測の在り方そのものを変えていきます。
他にも、流星源を放出して大気圏再突入で消滅させる技術の開発は、スペースデブリ(使用済みの人工衛星やロケットのパーツなど)の大気圏再突入による廃棄にも援用できるはずです」

――研究者冥利に尽きますね
「ええ。ただし重要なのは遊び心というか。  私が好きな諺に「大廈(たいか)の材は一丘の木に非ず」(大きな物事は多種多様な人の力が結集して為し遂げられる)というものがありますが、このプロジェクトはまさに理系の人間の知識と、ビジネスの分野で活躍してきた人たちの遊び心が合わさって成り立っている。そもそも人の手によって流れ星を飛ばそうというアイディアは、遊び心がなければ生まれません。
それを考えれば、人工流れ星は真の複合型プロジェクトだといえるでしょう。こういう発想の柔らかさは国家プロジェクトでは実現できませんし、組織が小さくてフットワークが軽いからこそ、新たな科学的な発見がもたらされたり、ビジネスモデルとして発展する可能性がある。いずれにしてもALEのプロジェクトが、新しい宇宙ビジネスの幕開けを告げることは間違いありません」

――獅子座流星群を観測した時のような感動を、もう一度体験できるような瞬間が近づいていると。
「そうなれば最高ですね。私は「一水四見(いっすいしけん)と、遊び心でサイエンス」というスタンスで、自分が大好きな宇宙の世界に関わってきました。そういう遊び心が、ついに目の前で結晶したということにもなりますから」